袖机に、鍵とじ込めをやったんですよね。
だって、まず下段だけロックして、その後、鍵を放り込んだ開けっぱなし上段を閉じたら、わー、全部掛かった。わー。
あわててまだそこにいた、K事務機器メーカーの人に聞いたら、あちこち電話してたあげく、最新型なのでまだどこにもマスターキーがないとか仰るんだよ。おう。中には、私の財布と経理氏一家の週末分の全財産が入ってるんだよ。
社長に泣きついたら、知り合いの鍵開け屋なら呼んでやれるとのこと。一万五千円でもいいから、私出すから、今日中に呼んでー!
呼んだ鍵屋さんは、薄っぺらい黒い長財布みたいなものだけ手持ちでやって来て。取り出した細い金属の棒で、かちかち鍵穴を探り出す。
私は鍵屋の、あまりの手ぶらさ加減にちょっとグッと来て、急に面白くなって来た。
眼鏡の鍵屋さんは意外に手こずっている様子で、小さなルーペで穴を覗いたりしたあげく、ちょっと、予約の鍵開けに抜けさせてください、夕方又来ますといって、出て行った。
帰って来てからは鍵屋は、隣の机の類似キーを見ながら、穴に突っ込んだ棒をカチカチやりながら、こんどあらたに持って来た金属片をゴリゴリ削ったりしながら、結局、鍵を作って袖机をこじ開けてくれました。よく観察してたら、だいたいの仕組みは判るかなあとも思ったのだが、やっぱりそう簡単でもなさそうだった。
ちょっと、鍵開け屋いいなあ。鍵屋ってどうやってなるんですか?いやー、うちに入ってくれたら教えますけどねワハハ(←照れながら)。
その鍵や、金は社長から貰うからいいとか言って、一銭も取らず。K社の最新版をいじれていい勉強になったとかいって。うきうきしながら帰って行きました。
そのうえ、二メートル先まで匂いがとどくような、たいへん上物のイチゴを1ケースくれた。
「…これは、いったい」「…E市はイチゴの町なのです」
あ、また照れている。
その職業も、この人も大変面白かったなあ。
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わたしたちのはなし が、少し更新されているよ。

あのう、なんか、読んで下さってる方は、
「この企画の意味がよくわからん」とお思いかもしれませんが。
しかし、企画者もわかっておりません。
…。

でへへ。いや、っていうか、っていうか、ですね、待って!
そもそも。実態も行き先も何処にもないものについての話をしているわけですから。
あの、とりあえずサンプル数を増やしてですね、そのなかから、何かがあぶり出されて来るのをぼんやり待つという、ですね…。ね?(ね?って言っても)
いや、わたしたちのはなしのことを考えてたら、湿布さんいわゆる百物語の有効性がなんだか判る気がして来ました。一つの怖い話と、沢山の怖い話と、ぜんぜん意味が違うですよ。
一つの怖い話は一つの怖い話なんだけど。沢山の怖い話は、なんだかいつのまにか、読み手も話し手もいっしょくたに内包していくんだよ。メタ的にー。

そういう感じでぼちぼち


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わたしなんか判った気がするんだけど。

あのさあ、ぼろ小屋にすし詰めに隠れ潜んで、パンとオリーブだけで飢えをしのぐとか。
見つかって端から順に殺されるとか。すぐそばに入るはずの第三者は、こんなに殺されてるのに見てるだけだよとか。
どっかで聞いたことあるよねえ。
これ、アレじゃないのかしら。
虐待されて育った人が、自分の子供を虐待してしまうというアレじゃないのかしら。

ずっと良くわかんなかったのは。
明らかにずっと勝ってた側の、別に追いつめられてもない側の国なのに、
世界レベルの学者音楽家文学者運動選手を排出する、知識と技術の粋を極めた国なのに。どうして、こんなにも理性がぶっ飛んだ様子で、原始的な憎悪に、確信的にのめり込んで行くのか?
そこが、とても謎だったんだけど。
そうか、そりゃあ、止まれないよねえ。
大戦の時に恐ろしい目に遭いすぎて、民族全体にトラウマって傷がついてしまったんだな。
自分の傷を癒そうとして、もがきながらどうしようもなく、身近な弱い人に同じ傷を押し付けちゃうんだな。
これ、なんか、そういうアレなんじゃないのかなあ。
治療の必要があるとしたら、今回の加害者側を、ってことなんじゃないのかなあ。

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■■■2008best本
クーリエ・ジャポン(雑誌)と、
J.M.クッツェー 「鉄の時代」

どっちもわりと夢中で読んだ。だからこれは、現代の人間社会に生きるってことさ。否応無しにワールドワイドな現代の人間ってこういうことさ。
他には「美しい鹿の死」「のらくらの楽園」「かむろば村へ」などが、真逆の方向にロマンチックで美味しかったけど。

■■■2008best音楽
アルヴォ・ペルトとヒリヤードアンサンブルの「Arbos」
次点が、ビバルディの「調和の霊感 作品3」イタリア合奏団 1988年

ペルトの最高に好きな所は、「もっと聴く為に耳を塞ぐ」ところ。
イタリア合奏団は真逆の方向のすばらしさで、溢れ出すほど豊かなところ。

■■■2008bestその他
ウクレレ(ウルセー!)
いやだけどほんとに。べつに全然上手くなってないんですが。やったとこなかった創造行為って、物の見方を深いほうに変える一番の方法だよなあ。
あとはねえ、「コレラの時代の愛」のハビエル・バルデム。
ペドロ・コスタ監督の「コロッサル・ユース」。
あとはタイタンの海とかかねえ。すごかったけど。

総評としては、どうかねえ。どれもっけして悪くなく、むしろ実に素晴しいんだけど。十年も前から知っていたかの様に、身体になじんでしまいました。突き抜けるような新しい発見にはちょっと欠けましたねえ。強いて言えばウクレレか。
あと、微妙にやな話ですが、長時間労働と容赦ない合理主義的キツい指導の、利点が判ってしまいました。人間に産まれた以上大事にされて当然、みたいな考えは、じつはけっこう危ない。というか、とっても危ない方向に転がる可能性を秘めている。なんかそのことに、実感として納得がいってしまったよ。
あ、でも、人間に産まれた以上仲間を大事にして当然、は、正しいと思います。うん、こっちは正しい。



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わすれてた、音楽もあったんだ。
今年後半は全然生聞いてないなー。不況のせいか、あんまり珍しいアーティスト来日しないしなー。

◎世界民族音楽大集成2 日本の民族音楽
・奈良薬師寺花会式の声明 : 称名悔過(前段・後段)
・江戸木遣り : 江戸火消し出初め式木遣り〜どんしょめ(大間)
・鰊場作業唄(北海道)
・線路搗固め音頭(保線音頭)(宮城)
・曹洞宗の鳴らし物 : 大擂鼓上殿〜小参鼓
・一絃琴 : 冬雅
・ 天吹 : ツツネ
・石笛・土笛 : 古代笛のための祭祀
・伊勢大神楽(三重)
メモしても何のことやら良くわかりませんが。音として、大変面白く聞ける。資料としてだけでなく、音楽として充分面白い。真の和風。

◎チェロとハープシコードの為のソナタ
ヤーノッシュ・シュタルケル ズザナ・ルージコヴァー
バッハ。バッハって、自分の趣味ポイントから外れた演奏だと、本当にわからなくて退屈で寝ずにはいられなくなるよね(ねっ、て言っても)。
これは土っぽくて、愉しく聞けたよ。

◎アルヴォ・ペルトのミゼレーレ
ヒリヤードアンサンブル他。
ペルトとヒリヤードアンサンブルは、私的には今年の発見だったなあ。
この美しさの前では、なんていうか、立ちすくんでしまう。
キリスト教的なものの中に沈んでいく様な作品達のはずなんだけど。人類のもつ普遍的な神秘と信仰に対するチャンネルみたいなものを感じてしまいます。それは、私が特定の信仰をもっていないせいかもしれないが。
ぼーっ

○ミャスコフスキー交響曲1番、5番 ロジャストヴェンスキー
昔のロシアらしさ。

◎リゲティの協奏曲 Concerto for Piano and Orchestra、他
ブーレーズ指揮
うーん、ブーレーズの現代曲大好き。なんという知性。まだ、ちゃんと聞いてない。


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